三上 和仁氏 Interview

Power of Closet(パワクロ)

三上 和仁(みかみ・かずひと)








創設まで

震災前は東京で仕事をしていましたが、震災後にUターンしボランティア活動などを行ってきた中で、2012年の6月のとあるイベントにて、津田大介さんに会う機会がありました。
津田さんは、自分と出会う前日に、野口美佳さん(ピーチジョン創設者)に雇用を生み出すには新しい産業を生み出さなければならないと震災復興についてアドバイスをもらった時に、芸能人の服を売る仕組みを考えついたそうです。ただし、実際に行うには、被災地とネットに詳しい人が必要で、津田さんがその人材を探していた時に偶然、自分がカチッと合わさった。そして、すぐにパワクロを行うことになりました。
津田さんは前日に野口さんに言われて、その次の日に自分と出会って、今までの自分の活動などをお話したら、そのまま話が決まり、しかも津田さんと飲みに行ったら、偶然野口さんと国分町で出会い、三人で飲む事になるという偶然もありました。偶然が重なって始まったプロジェクトでしたが、そこからアドバイスを頂きながらシステムを設計し、現地で行われています。


私の原体験

新卒で入った会社が、上場している通信企業、ITコンサルティング企業でした。いわゆる情報系です。そこでは、自分は何をやっていたかというと、ネットショップのHPを作りませんか?ということを関東一円でお店に営業しに回っていたんです。そこで、やりながら思ったのが、「東京はともかく、地方にいけばいくほど、HPのツールを使える人が少ない」ということでした。
石巻を考えるとわかりやすいと思うのですが、情報を発信するのが苦手だったり、扱いきれずに宝の持ち腐れ状態になることが多い。それが、自分がWEBで生活していた時にずっと持っていた問題意識だったんです。良い素材がたくさんあっても、扱いきれる人がいないと話にならない。将来は地域のために自分を活かしたい。そう考えていたのが原体験ですね。実は、働いた企業はブラックで9ヶ月程でやめたのですけど(笑)


なぜパワクロに興味を持つのか?

まず、今まで捨てていたものをリユースする、再利用する、販売する、お客さんのもとに届けると。なので、出品する方も幸せになるし、今まで捨てていたものを有効活用できるし、販売するところも売上があれば雇用にもつながるし、嬉しい。買う方も芸能人の方の服が着れるし、良い物が安く買えるので、やらない理由はないですよね。
ビジネスモデルとしては素晴らしいものだったというのも理由でしたが、もう一つが、地方でいつかは自分で入って、WEBを使って、役に立ちたいという思い(原体験)があったので、それが実現できる場としても良い機会を得たなと直感しました。さらに人を育てて、作る環境もできるし、地場産品を売ることで、地域企業にも利益を出す仕組みを作りたかったので、一石三鳥以上なのです。
今後は、パワクロのアクセス数を有効活用して、情報発信も行いたいと考えております。本当なら、利益がないと難しい事業ですが、服が売れることで、土台がしっかりできるので、安定しながらチャレンジができる環境がある。
これはいいぞ、最高ですだ!と、そう感じたら、やらなきゃいけないですよね。


次のステップ

今はスタッフ向けの研修はしていますが、石巻2.0だとデザイン教室を行なっています。それに合わせて、僕はネット講座の講習を行いたいのです。つまり、将来的には、ネットショップをやりたい人向けの教室をやります。そのために、スタッフが先生になれれば良いんですよね。そのためにも、スタッフを育てないと難しいので、しばらくはスタッフへの研修をしっかりと行なっていきます。


ノウハウの共有を通して人を巻き込む

現在流行っている簡単にネットショップを持てるシステムは、身内用に売る分には良いと思いますが、自在にページが作れなければ難しい部分があります。それは、クレジットカードでやっていますが、自分で構築したシステムではないと、決済手数料が高くなってしまうということです。つまり、単品なら良いですが、多く売る場合にはコストが高くなってしまうのです。
例えば、GMOとか、三井住友とかの代行会社がある。各会社でメリットデメリットがある。そういうことも知らないとわからない。ネットショップをやるにもそういった情報が必要ですし、例えば納品書はどうやって出しているのか?とか、そういったやっているからこそわかることは、地域のためにシェアをしていきたい。
地方からの発信のお手伝いをしていきたいですし、石巻だけではなく、他の地域にもノウハウの提供をしていきたい。芸能人の服という枠組みでは難しいかもしれないけど、ネットショップをやりたいという人。そういう人はどんどん巻き込んでいきたいです。


運営を通して得た手応え

成功している津田さんや野口さんが、すごい気にかけてくれて、事業がうまくいくための良いメッセージを頂けたり、良いプレッシャーを頂けたりと、本当に嬉しいです。
芸能人の方からメッセージを頂けて、それも従業員のやりがいにもつながりますし、本当にありがたいです。例えば、ある芸能人の方から、毎回手書きのメッセージを頂けるのですが、それがすごい勇気づけられるのです。「今回、このような機会があり、服を遅れることを嬉しく思います。引越しだったので、たくさん送りますね!」とか、「お役立ちになれて嬉しいです!」とか、本当に有り難いものです。
さらにお客さんからの反響がすごいんです。応援します、という声が本当に多くて、本当に嬉しいですよね。感謝や応援などの幸せをもらうビジネスを行えて、今は本当に幸せです。
例えばNPOではお金の確保が大事ですけど、そこを自分たちでまかなえることができる。さらに、自分のスキルが活きる、そして日々学びがある、ということは本当に嬉しいですよね。これがただ利益だけになると辛くなってしまう部分もあると思うのですが、貢献できている手応えを手にしながら日々過ごせることは本当にすばらしいことだと感じています。


いま、感じている問題

なかば、ぼんやりとオブラートに包まれている緩やかな衰退が気になっています。元々あった脆弱性というか。地域によってはリーダーがいて、都会にはない自治機能などが知れたのは良かったと思いますが、後釜が居ないというのを感じました。今のリーダーのあとのリーダーをどうするかという問題です。
緩やかな衰退があると思いますが、例えば福祉特区にしてしまって、介護施設などを作ってしまうのも良いのではないか。と思います。ただ、日本の中で団塊の世代をどう送り出していくか?ということも大事な側面だと思います。老化は必ず来るところなので。
ただ、共通してる所は、まちおこしができるレベルの所はまちおこしをしていくことは良いとおもいます。しかし、それが出来ない地域は綺麗に閉じていく必要があるのかもしれません。そういう意味では、コンパクトにしていく、そういったことを導入していくのも大切かもしれません。
緩やかな衰退を捉えた時に、地方をどうするのか?ということは考える必要です。例えば、町の5年計画までは出すとおもいます。では、50年とか、30年で考えた場合、設計図が難しくなりますよね。景気が良くなるなんてことは起こり得ないですし、孫の世代が生活できるんだという絵を描ける場所がどれだけあるのかと?と考えると地方は厳しいだろうな、と思います。自分の孫視点で考えるとかなりリアルに感じてしまいますよね。そこで孫は暮らせるのだろうかと。


いま、必要だと感じていること

(いろいろやりすぎている感があるので)シンプルにいった方がいいと思います。超シンプルに。うちは「くじらです!くじらしかないからね!石ノ森章太郎とかはいません。」(石巻)、「うちはカツオしかいません!カツオしかいない!高知がライバルです!」(気仙沼)みたいな。わかりやすさが第一だと思いますので、対象を絞った方が良いと思うんですよね。八戸なんかは上手いと思うのですよ。「鯖しかないです!」という感じにシンプルなブランディングが必要なのかな?と思います。
またよく言われている、地域プロデューサー、地域クリエイターの数を増やす、ことも必要だとおもいます。発信できる人が居ないので、そういった人を作る必要性を感じています。最低限自分に作れることがあって、それをプロデュースする力が必要で、クリエイトし、それをプロデュースできる人材を増やすということが求められています。今の活動がそこに将来的に繋がっていきます。

せわしないのは東京に任せて、田舎がスピードアップするのも難しいと思うので、今のリソースを理解して、マネではなく、自分たちの特性を活かすことが必要だと。外からのアドバイスも必要だとは思いますが、マネをしても魅力は生み出せないと思うのです。
仕事のやり方ひとつをとっても、東京の方がビジネスに関する能力の高い人が多い。スピードに関してなど、東京だったらこうだなぁ、と思う時もあります。でも、それは東京だとガツガツしないと生活が出来ないですし、ヘタするとホームレスになってしまうので、そうなっているのだとは思います。
地域の特性と、自分たちの特性を活かして、ブランディングしていくことが必要だと思うんです。その分、頭を使わなきゃいけない、と同時に思います。
地方と中央が合わさると、今回のように新らしいこともできるようになると思いますし、何か新しいことをやるのに地方で始めるのは、コストが(都会に比べれば)断然かからない。
コンパクトシティ化と(シンプルな)ブランディング化がこれから役に立てていけると感じています。


一つの方法として

石巻軍VS気仙沼軍というような企画ことをやりたい。そういう個性を出して、いい意味で競わせる、そういうコミュニケーションが今はない。(テレビ番組の盾矛のような)ライバル関係でもいいから、対立でも良いから、対立もひとつのコミュニケーションですから。うちの方が美味いよ!と。そうやって、選択肢が見えてくると、買う側も面白いと思いますよね。こんなのもあるのかと、発見があると思います。


プロジェクト紹介

Power of Closet
このたび、私たちは宮城県石巻において『パワクロ』という社団法人を設立いたしました。
ご存知の通り、震災後の当地では若者を雇用できる産業が激減し深刻な問題となっています。
そこで、地元の若者たちを雇用しビジネストレーニングを目的とする支援事業を開始するに至りました。
ファッションの感度を上げ、インターネットビジネスで視野を広げ、ロジスティックスで知恵を絞る、
そんな日々を送りながら、失った夢や希望を取り戻し、新たな人生の基盤を得て欲しい、
そのような願いで、石巻を中心に被災地で生活する若者たちを導いていくものです。

このサイトはそのトレーニングの一環として制作したものです。
取り組みに賛同していただいた有名人の方々から寄付していただいた衣類を販売しています。
現地にて事務所、倉庫を構えクリーニング、撮影、発送からサイト制作まですべてをこなし、
時には様々な方からアドバイスを得て、自分たちの生業を培っています。

関連リンク:https://powerofcloset.com/

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